勝った!錦織が世界一位のジョコビッチに勝った。しかも危なげなく。彼が両手を上に上げるのを見て、鳥肌が立った。蒸し暑く、汗が止まらない部屋の中で。。。男子テニスで、私が生きている間にグランドスラムのファイナルで日本人を見るなんて!(テニス好きの母に見せたかった。)天と地がひっくり返ったって無理だと思っていた。世の中、不可能な事なんてないんだとあらためて力をもらった。ベスト8で私の好きな第3シードのワウリンカに勝った時、やるなーと思っていた。かなりいいショットが多かったので、あれが実力なら行けるかもしれないと!
今日はNYでは有り得ないぐらいの湿度と高気温。珍しく涼しい夏だった今年のNY。いつもならこの時期はもうすっかり秋の風が吹いているのに、日本の夏のようで、こんな中でテニスをするなんて考えられない程だった。この天候とジョコビッチの1stサーブの不調が決めてだったように思う。そして勝利の10分後、US OPENのテニスセンターと同じクイーンズにある私の家(車で15分くらいの距離)の周りは大雨になった。その直後、テニスセンターも。フェデラーの試合の開始は遅れた。錦織の試合が雨で試合が中断してたら、分からなかったかもしれない。 錦織はチャンスボールを逃さなかった。長いラリーでも決めにいったし、、、何よりもミスが少なかった。若いのに精神的にかなりタフ。いつも冷静で落ち着いている。波がない。柔らかなサムライってとこかな。ジョコビッチよりミートしていた。ボールの当たる音が違っていて、セカンドのリターンは恐ろしいほど。(昔の伊達を思い出した。)スライスでかわされて、2セット目は落としたが、3セット目からフル回転。タイブレークが決めてだった。ジョコビッチももう気力が無くなったように思う。試合直後のジョコビッチのインタビューで、「ミスが多かったし自分の目指すテニスからはかなり遠かった。日本は大きな国で、テニス人気にも押し上げるだろうし、すごく盛り上がってるに違いない。彼はグランドスラムの決勝という一つ上のレベルに行ったのだから。」と言っていた。そうなる事を願う。今まで日本では、私の一番大好きな”テニス”というスポーツは、世界の4大大会があってもメジャーのテレビチャンネルで放映してくれないほど追いやられてたのだから。(今日だってWOWOWだし?!) 時差もあるけど、やっぱり世界のレベルを日常的に見れないと現実の厳しさは伝わらない。こんなにメディアがあっても日本は隔離されていると思う。錦織はそう言う意味で、日本を飛び出てアメリカに住んでいるし、メンタル的にも世界に引けを取らないのだろう。マイケル・チャンがコーチというのも大きい。タフさ。これに尽きる。 この8月27日に私はNY生活11年目に突入した。何が変わったかというとやっぱりその精神的なワイルドさ、生きる力だと思う。日本はいい国だが、全てきちんとお膳立てされていたり、用意されすぎ。危機や問題にぶちあたった時に乗り越える力が、日常生活で鍛えられない事が問題だ。NYにいると、上手く行かなくて当たり前だから、いつも次を想像して切り抜けている。突然起きた事にもオタオタせずに最善の方法を考える事。錦織のテニスを見ていて安心していられたのは、その強さだと思う。ここさえ切り抜ければというところで、落ち着いていた。グローバルな舞台で戦ういいお手本だ。数日で身に付くものではない。 この2週間トーナメントの試合を見ていて、ナダルもいないし、今日のテニスが出来れば優勝出来るかも、と思っている。NYでは錦織がベスト16(午前2時過ぎまで)とベスト8の試合で4時間を超える試合をした事で、ずっと話題になっていた。シード5、3、1を倒しただけでも讃えられている。彼はしばらくベスト5にずっといるような選手になるかもしれない。 この10年、NYに来てからずっと夢見ていたUS OPEN。目と鼻の先でをやっているのに一度も観戦に行った事がなかった。今年初めて、2回見に行った。一度は本戦前の予選。会社帰りにかけつけた。目の前でテニスの試合が見れ、まるで高校生の時の、先輩の試合を見ている感覚。急に気持ちが若返った。2回目はLabor Day というホリデーの9月1日。このホリデーは夏の最後の日と言われているのだが、今日と同じで非常に蒸し暑く、30度を超えていた。2番目に大きいルイ・アームストロングスタジアムに朝9時〜夜9時まで座っていた。4試合。炎天下に座っているだけで脱水症状になりそうで、クラクラししていた。。。ボトルの水はお湯になってるし、好きじゃなかったら耐えられない辛さ。でもジョコビッチやワウリンカの試合が目の前で見れて最高!皮膚がジリジリと焦げ付くような陽射しで、すっかり小麦色になってしまった。顔だけは焼きたくないので、滴る汗に、何度日焼け止めを塗り直したことか! しかしこの日のUS OPENの盛り上がりは凄かった。特にルイ・アームストロングスタジアムは観客がコートに近いからノリがいい。これが生のUS OPENなんだ!と実感。一度来たら止められない興奮だ。その日の夜、10時頃始まった錦織の試合を、その会場の外の大きなスクリーンで見ていた。最初は全然駄目。10時半になり、これではすぐ負けそうだなと思って諦めて家に帰ったのだが、朝起きて4時間19分の試合を制した事を知った。次のワウリンカも無理?と思っていたら、段々調子を上げて、、、今まで以上にテニスに熱が入ってしまった。来年はナダルを絶対に見たい!(しかもこのタイミングで日本人のスターまで出てきてしまった。)家からすぐの所で大好きなテニスのグランドスラムが見れてしまうのだから、やっぱりNYに居続けたい。あとはウィンブルドンとフレンチオープンを見るのが私の夢。錦織がファイナルに行った事を考えると、小さい事に思えてくる。ようは自分のやる気の問題だけ。だって行けばいいんだから。この3年でロンドンとパリに旅行に行っている私にとって、難しい事ではない。「何事にも自分でリミットを作るのは止めよう。」とあらためて思う。自分が好きな事に素直に従って生きると、それが次の扉を開けてくれる。その扉を一つ一つ開けていく毎日が、自分の可能性を広げ、幸せを感じられる日々になっていくのだと思う。幸せは辿り着くものではない。小さくてもいいから、今、感じているべきもの。 錦織は次のセミファイナルの試合の放送席に来て、ニコニコと話をしていた。ケガでこのトーナメントの2週間前から練習を始めたと、、、最初は座って打っていたと。彼のゲームからボールを打つ楽しさみたいなものを感じたのは、そのせいかもしれない。日本人によくある悲壮感やプレッシャーを全く感じなかったのは、それ以上に久し振りにプレイする幸福感が勝っていたから。。。やっぱり好きな事、そして今を楽しむ事が幸せの一番の鍵なんだろう。 Comments are closed.
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AuthorA singer songwriter, settled in NYC. She loves music, sports, food and travel! Archives
January 2016
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